赤ちゃんの頭の歪みとヘルメット治療

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気になる頭の形の治し方、ヘルメット治療のメリットデメリット、種類や金額など、実際に頭の歪みが気になりヘルメット治療に踏み切ったからこそわかる情報をまとめてご紹介します。頭の歪みを0歳のうちに矯正をするヘルメット治療。治療法が知られつつありますがまだ一般的とは言えません。医者や保健師に気にならなくなるから大丈夫と言われても、絶壁な大人はいるわけで心配ですよね。

 

頭の形が気になる?

今、頭の歪みが気になる子が増えています。胎児の頃からの歪みや出産時の変形に加え、仰向け寝が推奨されたことで、向きグセにより歪む子供が増えているのです。

 

頭の歪みの種類

まず頭の歪みは、確率は少ないのですが先天性の病気である場合があります。赤ちゃんは脳が成長するための余地として頭蓋骨に隙間があるのですが、頭蓋骨縫合早期癒合症の場合はその一部がくっついており成長とともに激しく歪んでいきます。

多くの方は子宮の中にいる間や、産道を通ってくる間、新生児期に同じ姿勢で寝ていたことで変形します。一昔前までは頭の形をよくするためにもうつぶせ寝にする人も多かったのですが(私もそうでした)、乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因であることがわかってから仰向け寝が推奨され、世界的に頭の歪みが気になる子ども、位置的頭蓋変形症が増えているのです。

・斜頭症

もっとも一般的で、同じ方向を向いていたことにより後頭部の一方が平らになる症状です。

・短頭症

真上を向いてくれる子によくある、後頭部全体が真っ平らな症状です。

・長頭症

低体重などNICUで横向きの状態が長かった子によくある、後頭部が長かったりふっくらしている症状です。

 

頭の歪みが引き起こす症状

歪みの大きさにもよりますが左右非対称になることで、瞼が下がる眼瞼下垂や耳の位置のずれ(メガネやサングラスがかかりにくくなる)など見た目への影響だけでなく、顎関節症や背骨の湾曲、歯の矯正が必要になるなど骨格にも影響があります。

影響例>

歯並びへの影響>

 

頭の歪みの重症度

子どもの頭の歪みが将来治るほどなのか、治療をするほどなのか気になりますよね。頭の歪みの重症度を判断する基準があります。後で紹介するミシガン頭蓋形状矯正ヘルメット治療が受けられる「国立成育医療研究センター」の「形成外科・赤ちゃんの頭のかたち外来」の医師の記事から引用して紹介をしますが、スターバンドも見る項目はおおよそ同じです。

見た目の重症度

頭のどの部分の形に問題があるのかによって、6段階でグレードをつけます。グレードは高くなるほど重症度が高くなります。下記のうち、グレード2からが治療の対象になります。

グレード1:一側の後頭部の平坦化(向き癖があるほうの後頭部だけに変形が見られる)
グレード2:耳の位置の左右差
グレード3:ひたいの形の左右差
グレード4:顔面の左右差
グレード5:側頭または後頭部の隆起
グレード6:短頭(いわゆる絶壁頭)

頭頂部から見たときの非対称具合

頭が非対称かどうかをチェックします。頭の中心の線(鼻から後頭部)から左右30度傾けた2つの対角線の差を数値化します。ゆがみが大きいほど非対称になりCA(Cranial Asymmetry)は大きな値になり、概ね15以上が治療の対象となります。

頭型

長頭か短頭か、または絶壁度合いをチェックします。頭の左右幅と前後長の比率を指します。3歳以下の日本人の標準値があり、これを参考に治療の対象を決めます。

自分たちで判断をするのは難しいもの。悩んでいるならば、一度専門機関に相談することをおすすめします。

 

頭の歪みは家で改善できるか

できることならお金をかけずにまあるい頭を手に入れたいですよね。私もそうでした。まずドーナツ枕は意味ありませんでした。わずか生まれて20日の新生児なのに、枕から頭を外してしまいました。2ヶ月にもなると手で引っ張って外し、気がついたら顔の上にあったりベビーベッドから投げ出されていることも。

位置的要因で頭が歪んでいる場合はヘルメット治療ではなく、病院で理学療法を受けたり、お家で工夫をすることで改善する可能性があります。

生後0~3ヶ月

寝ている時間が長いため、まだ自分の手で緩和できます。裏を返すとほっといたら悪化するだけです。

斜頭症・短頭症の場合は日中、見ていられる間だけ、NICUのように身体を横にして寝かせる方法もあります。低反発のマットレスのようなものも悪くはないと思います。試せなかったのでレビューできませんが。。

生後4ヶ月〜

力がついてくる上に寝返りできるようにもなり、寝ている時間は少なくなって反対側を向ける矯正が難しくなります。なるべく向かない方におもちゃを置いたり、抱っこの仕方を変えるなどで対策をしていきます。

首すわり後の抱っこ>

 

おすすめの向きグセ対策

頭蓋骨が出っ張ったところを引っ込みません。平らなところが成長できるように、地面に接しない時間を長くとる必要があるため、なるべく抱っこするのも方法のひとつです。過去の自分にアドバイスできるならそう言います。

向きグセによって頭が歪んでいる場合、使われる筋肉に偏りがあるので、日中に腹ばいにして遊んだりベビーマッサージで身体の左右を均等に動かす練習をすることで改善の手立てになると思います。

ベビーマッサージ

こちらの本を参考にマッサージをしました。ドレナージュは向きグセが気になる場合のマッサージも紹介されています。

●ベビーエクササイズ

私の場合この本を手に取った頃には時すでに遅しでしたが、いかに運動が大切かとエクササイズ・マッサージ方法が成長段階ごとにたくさん紹介されています。2007年初版発行と少し古い本ですが内容は問題ありませんでした。赤ちゃんと日中何をして過ごすかわからない・・・というママパパにもおすすめしたい本です。

●タミータイムツール

AHS JAPANに、腹ばいで過ごす時間の必要性とむきぐせ解消につながる運動方法が紹介されています。この資料は治療開始後に見つけたので取り組めていませんが、生後4ヶ月以内の方におすすめです。

Tummy Time Tool>

 

歪んだ頭は治療せずに治るのか

医者や保健師に大きくなれば目立たないと言われる場合が多いと思います。(私も言われました。)首を座る頃から上に書いたように同じ姿勢で寝ていることが少なくなるため、悪化する可能性は減ります。絶壁の箇所が地面に接しなくなることで成長ができるようになる、そして単純に大きくなることで目立たなくなる場合が多いのかと思います。結局個人差になってしまいますが、大泉門が閉じる18ヶ月まではまだ歪み改善の余地があります。

ただ、生後5ヶ月前後の歪みレベルで自然に目立たなくなるのか、治療をするべきなのか判断することをおすすめします。AHS Japanでは「あたまのゆがみ度測定コース」を1万円で受けることができます。(治療に進んだ場合は治療費に充てられます。)

あたまのゆがみ度測定コース>

 

歪みが気になるならヘルメット治療

アメリカでは医療として認められて長い頭蓋再形成治療。子どもの頭の形に合わせてヘルメットを作られます。突出した部分の成長を抑え、扁平部分に空間を設けて成長を促すものになります。およそ6ヶ月間、定期的に通院をしてスキャンし、ヘルメットを調整しながら頭の成長とともに歪みを治していく治療法になります。

ヘルメット治療の種類

頭を理想の形に誘導する「リモルディングヘルメット」と称される製品を扱う会社は世界で数十社にも及び、その多くは米国にて展開されています。そのヘルメットには2種類あり、内側の素材を調整できない「パッシブバンド」と機械で内側が削れる設計の「アクティブバンド」です。パッシブバンドは著しく成長する赤ちゃんの頭に合わせてヘルメットを作り直す必要があるため、その分費用もかかります。アクティブバンドは激しい変形でない限り、通常はひとつのヘルメットで済みます。

 

日本で受けられるヘルメット治療

現在日本で受けられるヘルメット治療には3種類あります。スターバンド、アイメット・ネオ、ミシガン頭蓋形状矯正ヘルメットです。いずれも生後4~6ヶ月頃から治療を開始し、3~4週間ごとに診察をして半年以内に治療を終えるものになります。医療用装具として認められるようになりました。自由診療にはなりますが、医療費控除を受けることができます。

●スターバンド

アメリカのOrthomericaという会社ヘルメットで、日本ではAHS Japanが窓口です。直営のオフィスは新宿と銀座になりますが、全国に提携の病院があります。スターバンドはアメリカの厳しい基準510(k)認可を取得した唯一のメーカーで、リモルディングヘルメットの世界トップシェアを誇っているそうです。

ヘルメットの種類はアクティブバンドで、治療費用は総額36万円(+税)です。通気性は良くありません。重さは私の娘の場合スタートの段階で240g弱でした。

詳しくはHPへ>

●アイメット・ネオ

アイメット・ネオは、日本人向けに作られた日本製のヘルメットです。アメリカ製ヘルメットでの矯正経験を生かし、日本の気候や日本人の体質を考えて日本企業の技術を集めて作りあげられたそう。東京女子医科大学病院が窓口になります。

ヘルメットの種類はパッシブバンドで、治療費用は総額50万円(+税)です。追加でヘルメットを作成した場合はさらに30万円(+税)。側面に大きな通気孔があるため通気性がよく、軽量化されています。

詳しくはHPへ>

●ミシガン頭蓋形状矯正ヘルメット

ミシガン大学が開発したヘルメットです。日本では国立成育医療研究センターや大阪の高槻病院を中心に全国数カ所に窓口があります。

ヘルメットは前後に分割式で大きさが調節できるようになっており、治療費用は総額33万7000円〜40万円(+税)です。側面に小さいですが通気孔があり、重さは約230gです。

詳しくは兵庫県立こども病院HPへ>

 

ヘルメット治療のデメリット

治療をして治らなかった話は聞きませんが、月齢が上がるにつれて治りづらくなります。デメリットとしてはヘルメットを装着することによる肌トラブル、圧迫されることで靴擦れのような症状になる懸念があることです。これらは親が注意を払ってケアをしていくことで防げる・軽減できます。

治療の失敗や後遺症がないか気にされる方もいますが、そのような結果は報告されていません。適した時期に治療を始めることが大切です。

 

ヘルメット治療に進むかの判断

色々と子育てにお金がかかる中で消して安くないお金を払ってまで治療するか迷うところだと思います。私は将来歪みが要因となり歯の矯正が必要になったり、見た目にコンプレックスを持つようになったりするリスクを考える、投資する価値があると考えて治療に踏み切りました。

 

ヘルメット治療を受けるには

治療に進む、または一度相談をする場合、以上で紹介した3種類のうちいずれかを選ぶことになります。受診できる病院に限りがありますので通いやすいものを選ぶことになるかと思いますが、東京近辺に住んでいる場合はどれが良いか迷うかと思います。私はAHS Japanのスターバンドを選びました。決め手は待ち時間です。

 

フォローアップ体制について

自由診療になるがゆえに、フォローアップ体制は様々です。電話して確認をしたり、近い状況の人のブログやインスタグラムなどのSNSを探して情報収拾することをおすすめします。

スターバンド

新宿・銀座にオフィスがあります。病院ではなくヘルメット治療専門のため予約制で待ち時間がほとんどありません。初回のあたまのゆがみ度測定コースの予約はだいたい2~4週間後になります。治療に進む前に一度指定の病院へ行き、「頭蓋骨縫合早期癒合症ではない」という医師の診断をもらう必要がありますが、基本はオフィスまたはフォローアップ施設に行きます。

提携医療機関リスト>

アイメット・ネオ

東京女子医大で受付・フォローアップされており(※)、全国から治療をしに人が訪れます。そのため非常に待つことで有名で、6時間も待ったという人のブログも見つかります。この治療を受けた知人もあり得ないほど待つから覚悟が必要とおっしゃってました。

※赤ちゃんのあたまのかたちクリニック(東京赤坂)、東京慈恵会医科大学付属病院 も提携医療機関となったようです。

●ミシガン頭蓋形状矯正ヘルメット

私は治療を開始してからこの存在を知ったためあまり情報を持っていませんが以下で診察治療できるようです。

国立成育医療研究センターHP>

大阪の高槻病院 HP>

大阪市立総合医療センターHP>

兵庫県立こども病院HP>

 

ヘルメット治療の流れ

治療までの流れは以下になります。どちらも大まかには同じようです。

①予約をして初回の診断をする

スキャンをし、歪みのレベルを調べ治療に進むか決めます。

②(病院ではない場合)適応診断に行く

病気ではないという診断書をもらいます。

③ヘルメットをオーダーする

AHSの場合、初回の診断から日数が空いていなければ再スキャンせずにオーダーしてもらえました。

④治療開始

2~3週間後、出来上がったヘルメットの最終調整をして受け取り、装着の指導を受けます。

⑤レビュー

その後は3~4週間ごとにレビューをしに行きます。スキャンや形を見て調整して行きます。

⑥治療終了

成長度合いによって変わります。早くて3ヶ月、長くて6ヶ月後に治療を終了します。ヘルメットの調整余地的にも、大泉門の閉じ具合的にも6ヶ月を超えて治療することはほとんどありません。

 

ヘルメット治療例

ヘルメット治療に進む前に、治療前後や通院についても知りたいところ。スターバンドの場合、AHS Japanに症例が多く紹介されています。

リモルディング体験談>

私は以下の方々の記事やブログを参考にしました。

・スターバンド

アメブロの#スターバンド

ツイッターの#スターバンド

elly-mさんのブログ

ウーマンエキサイトの体験記

・アイメット

アメブロの#アイメット

ツイッターの#アイメット

イクメン精神科医さんのブログ

はじめて育児さんのブログ

オテモニャン戦記さんのブログ

・ミシガン式

気になる赤ちゃんの頭の形【頭のヘルメット】ってどんなもの?

症例をあげている人があまり見当たりませんでしたが、インスタグラムで「成育 ヘルメット治療」を検索すると多少見当たりました。

 

頭の歪みとヘルメット治療まとめ

このワードを調べている方はすでに気にされていることと思います。首すわり前であれば自宅でマッサージと体位の工夫をし、あたまの形外来がある病院などで相談することをおすすめします。首すわり後4~6ヶ月の方は病院やAHSのオフィスで診断を受けて重症度を確かめ、ヘルメット治療に進むか理学療法やマッサージで改善をしていくか判断することをおすすめします。